「シワは人生を重ねてきた証」と言われています。とはいえ、老けて見えるなど本音では気になるものです。
シワを解消する効果的な対策として美容医療の注入治療がありますが、実際に行うには心理的ハードルも金額も少々高く、できることなら毎日のスキンケアの延長線上で気軽にシワのケアもしたいという方が多いのではないでしょうか。この数年コスメ業界ではシワに効果があるとされる商品が多種販売されるようになり、そんな願いも現実的なものになりつつあります。中でも美容好きの間で注目が集まっているのが「塗るボトックス」です。
そもそもシワには、無表情でもはっきり定着している「固定ジワ」と表情を動かす時に現れる「表情ジワ」といった種類があります。表情を作ったときに現れる表情ジワに関しては、表情のクセを抑えることがシワ解消の有効な手段になります。
その際使用するのがボトックスです。ボトックスとはボツリヌストキシンから毒素を取り除いた成分で、注射した部位の筋肉を麻痺、動きを抑制する作用があります。そのため眉をしかめることで現れやすい額や眉間のシワ、大きく笑った時に定着する目尻のシワなどはボトックスで筋肉の動きを制限することがシワ解消につながるのです。
ただしボトックスは医療機関でしか取り扱うことができません。個人で使用する塗るボトックスにはボツリヌストキシンは入っておらず、「ボトックスに似た作用がある化粧品」というのが本当のところです。ではどうやって似た作用を出すのでしょうか。
塗るボトックスの成分は「アルジリン」と「シンエイク」
塗るボトックスに使用されている成分は、「アルジリン」もしくは「シンエイク」です。
アルジリンは植物由来のアミノ酸から作られるヘキサペプチドのことで、ボトックス注射が法律で禁止されているスペインで代替え品として開発されたものです。ボトックスにはかなわないものの、かなり近しい働きが望めます。シンエイクは人工的に作り出したペプチドで毒蛇の筋肉を弛緩させる毒をヒントに作り出された成分です。効果はアルジリンに似ていますが、即効性、保湿効果もあると言われています。
ボトックスが筋肉の緊張状態を麻痺させるのに対して、アルジリン、シンエイクは筋肉の緊張状態を和らげる作用があります。塗るボトックスには、アルジリンが入っているものとシンエイクが入っているものとありますが、どちらの成分を選択したら良いのかについては、シワの状態、使用感の好みによって異なります。「アルジリンの方が浅いシワには効く」、「後から開発された分、シンエイクの方がより効果的」など色々な意見があるようで迷うところかもしれません。そんな方は少し高額にはなるもののアルジリンとシンエイクの両方の成分が入っている塗るボトックスもあります。
変化は翌朝に実感する。痩せた肌もふっくらと
塗るボトックスの使い心地は、シワをとる化粧品にありがちなツッパリ感もなく、すっと伸び肌にしっとり馴染みます。塗った直後に変化を感じなくとも翌朝には肌がふっくらとする感覚を実感できます。浅いシワ、表情ジワに関しては継続的な使用でかなりの改善が望めます。加えて保湿効果もあるため、乾燥しがちな季節の保湿対策にも最適です。
またボトックス注射といえば、打ち過ぎると表情のない不自然な顔になるリスクがありますが、塗るボトックスでは過剰に塗ったところでその心配もありません。刺激もないため化粧品でかぶれやすい方も使用しやすいのではないでしょうか。
もちろんデメリットがないわけではありません。効果が望めるのは使用している間です。塗るボトックスの使用をやめると再び表情のクセが現れ、同じようにシワが刻まれる可能性があります。また表情グセによるシワには効果的ですが、たるみが原因でできたシワ、すでに深く刻まれてしまったシワは大きな変化は望めないため、そこは違うケアが必要です。
総合的に見てもローリスクハイリターンと言える塗るボトックス。ボトックスに興味があっても注射には抵抗があった方は要注目です。