白斑は100人に1人がかかる疾患
白斑(尋常性白斑)とは、皮膚の色が抜け白くなってしまう皮膚疾患です。人口のおおよそ0.5~1%、つまり100人に1人の割合で発症します。性差はなく、男女ともに罹患する可能性があります。
白斑はメラニン色素を生成するメラノサイトが破壊されたり、機能が停止したりすることが発症します。
先天性と後天性の白斑がありますが、多くの場合は後天性の尋常性白斑で、小さな斑点が少しずつ増え、全身に現れるケースと神経の支配領域に沿って急速に広がるケースがあります。
後天性で尋常性白斑以外の白斑には、薬剤や化学物質の影響でメラノサイト障害が起こり、白斑を発症したケースもあります。先天性の白斑は遺伝子の異常などで色素細胞であるメラノサイトが存在していない、もしくは機能していないことが原因です。いずれにせよ解っていないことが多いため原因の特定は難しく、現状では異常を起こしているメラノサイトを正常に戻すことは困難です。
白斑・白皮症患者数

白斑が生じた部位によって非分節型、分節型、分類不能型の3種類に分類できます。
非分節型
神経支配領域に関係なく、全身に白斑の症状が現れます。
分節型
神経支配領域に沿って、体の片側だけに白斑の症状が出ます。分節が複数生じるケースもあります。
分類不能型
体の片側だけに症状が出ていたものが、いずれ全身に広がる、非文節型と分節型の両方の特徴を持っているなど、どちらにも分類しきれない白斑もあります。
白斑の種類と尋常性白斑

白斑には、白斑の大半を占める尋常性白斑以外にも、老人性白斑、脱色素性母斑、炎症後白斑といった種類があり、症状によっては種類の見極めが難しいこともあります。
老人性白斑
5mm程度の白斑が四肢を中心に現れる疾患で、高齢の方に発生します。多発することもありますが、一つ一つの白斑は小さいままで融合しません。
脱色素性母斑
生まれつきあり、大きさも変化しないものがほとんどです。
炎症後白斑
湿疹などが治った後一時的に白っぽくなる症状で、時間の経過とともに解消されます。他にも、授乳中に乳頭にも白斑ができることがありますが、乳管の一部が詰まっている状態、詰まって炎症が起きている状態のため、色素が抜けているわけではありません。
また、先天的な遺伝子の異常などによって起こる先天性白斑もあり、この場合は生後まもなく、もしくは数年後に出現します。メラニンはメラノサイト内で合成されますが、その際多くの分子が機能しており、その分子に一つでも異常があるとメラニンが合成されません。分子の異常が先天的にある場合、先天的白斑になります。先天的白斑の中でも頻度が高い眼皮膚白皮症は、生まれつき皮膚、毛髪、眼の虹彩のメラニンの合成が少ない、もしくはない症状が認められます。
白斑の中でも患者さんが多く、代表的なのが尋常性白斑です。
尋常性白斑は、皮膚の色が抜け始めるとどんどん大きく広がります。昔からある皮膚疾患で、白なまずという呼び方をする地域もあります。ほとんどの場合、内臓や全身の異常は見られず、白斑の部位に痛みや痒みを感じることも、うつることもありません。
しかし、見た目が目立つことから深刻に悩む方が大勢います。マイケル・ジャクソンさんもその一人で、白斑を患ったことでいわれのない中傷を受けたことを記憶されている方も多いのではないでしょうか。
白斑の原因はわかっていない、治るかどうかもわからない。

後天性の尋常性白斑の原因は、非分節型と分節型によっても異なりますが、自己免疫の異常や遺伝子の変異ではないかと言われており、生活習慣、ストレスなどの関係性も指摘されています。しかし、現状でははっきりしたことはわかっていません。
非分節型
非分節型の白斑は、自己免疫疾患が原因と考えられています。肌はメラニン色素によって紫外線から守られています。そのメラニン色素の元となる細胞がメラノサイトです。しかし、免疫が過剰反応すると自分のメラノサイトを破壊してしまい、メラニン色素を合成できない状態になり白斑を発症させることがあります。そこに、酸化、精神的ストレス、肌に触れる化学物質などが加わると、さらに全身に広がっていくと言われています。
分節型
メラノサイトは神経に支配されていますが、自律神経など神経が異常をきたすとメラノサイトは機能を停止し、メラニン色素を合成できなくなり、白斑を引き起こすと考えられています。
尋常性白斑は発症する時期が幼少期から成人までと幅広く、自然に治ることはほとんど期待出来ません。治療法として紫外線療法もありますが、効果を実感するまで数年単位での治療時間が必要です。
白斑の悩み

- 周囲の視線が常に気になる。
- 白斑がある部位を隠したい。
- 夏でも着られる服が限られる。
- プールや温泉に行きづらい。
- 近い距離で人と話すのが怖く、日常生活や仕事に支障が出る。
- 白斑になった原因が分からない。
- いつ治るのかわからない。
- 白斑が広がり続けることに対して恐怖感がある。
- 頭髪、眉毛、まつ毛まで白くなるのではないかと心配。
- 長期的に治療を続けても効果が実感できない。むしろ悪化している。
- 治療に長期間かかり、費用と治療時間が負担になる。
白斑をメイクでカバーする方法

白斑の患者さんは、「常に周囲の視線が気になる」という悩みを抱えがちです。とくに顔や手といった露出部に症状が出ていればなおさらです。治療には時間がかかり、費用も定期的な通院も必要になりますが、望む効果がでなければストレスとなり、そのことが白斑を治りにくくさせる要因になりかねません。
そういった場合は、メイクでカバーするという方法があります。
その際、一般の化粧品をそのまま使用すると白斑が透けたり浮いたりしますが、カバー用のファンデーションならば水にも強く、白斑と肌の色調の差を自然に1日中カムフラージュすることも可能です。
費用は3000円~4000円程度からあり、使用する量も1円玉くらいの白斑に対し、1回1滴ほどで済むため、1度購入するとしばらく使用することができます。
白斑を病院で治療する方法
現在病院では、日本および欧米のガイドラインをもとに、外用療法、紫外線療法(光線療法)、手術療法(植皮術・移植法)が行われています。

外用療法(ステロイド薬、タクロリムス軟膏など)
16歳以上の場合、主な治療法(保険適用)はステロイド外用薬の毎日の塗布です。通院は数ヶ月おきになります。
紫外線療法/光線療法(ナローバンドUVB療法、エキシマライト)
外用療法で効果がない場合は、病変部に紫外線を照射する紫外線療法を行います。定期的に長期間の通院が必要です。
ミニグラフト植皮術
正常な皮膚から採取した1mm程度の植皮片を10個~100個以上、田植えの様に白斑に植える皮膚移植治療です。
培養皮膚移植法
ご自身の色素のある皮膚の一部採取して培養し、色を作るメラノサイトという色素細胞を増やしたのち、白斑のある患部に移植する治療法です。
患者さんが16歳以上の場合の主な治療法(保険適用)は 、まずは塗り薬であるステロイド外用薬の治療から始めます。外用療法で改善がみられなかった場合、紫外線療法に移行します。
紫外線療法(光線治療)は、PUVA、ブロードバンドUVB、ナローバンドUVBなどの紫外線を白斑の部位に照射します。頻度はナローバンドUVBの場合、一週間に1~3回を6か月間、または60回の照射を行います。過度な紫外線療法にはリスクもあり、皮膚がん、皮膚の老化、白内障、免疫抑制などを誘発してしまう可能性もあります。
それらのリスクが抑えられる306nm~310nmの波長を照射するVTRACというエキシマライトを用いた紫外線治療器もあり、発がん性が低いとされています。この紫外線を白斑部分に照射し、光刺激を与えることで色素の再生を促します。
紫外線療法でも望む効果が得られない場合は、皮膚移植といった外科的治療の選択もあります。
白斑は治療法があるけど、完治は難しい

白斑は自分自身の免疫細胞が異常を起こし、色素細胞であるメラノサイトを攻撃しているため、免疫の反応を抑える治療が必要です。外用薬だけで改善するのは難しく、多くの場合紫外線療法を行います。紫外線療法は治療継続期間によっては治療効果が期待できます。
ただしほとんどの尋常性白斑は数週間では治りません。
一般的に大変時間がかかる治療で、場合によっては100回以上の照射が必要になることがあります。そうなると週に1、2回の頻度で照射を続けて1年以上の通院が必要になります。まずは20回程度治療を行なって効果の判定を行いますが、効果が期待できても必ず治るわけではありません。
ミニグラフト移植法と培養表皮移植法の比較

ミニグラフト移植は、白斑部位に直径0.6mm~1.3mmの小さな穴を開け、ご自身の正常皮膚から採取した植皮片を埋める皮膚移植手術です。正常皮膚は、傷が目立たず色素合成が盛んな頭などから採取します。採取した部位も移植した部位も傷が小さいためほとんど目立つことはありません。
自家培養表皮移植は自身の正常皮膚を採取して培養し、色を作る細胞であるメラノサイトごと増やして患部に移植する治療法(再生医療)です。採取する皮膚はごくわずかで、目立たない部分から採取します。
ミニグラフト移植法 | 培養表皮移植法 | |
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メリット |
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デメリット |
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自家培養表皮移植を行なっている
「銀座よしえクリニック」さんに取材しました
紫外線療法などでは改善が困難な白斑に対する、新たな解決法となるのが「自家培養皮膚移植」です。具体的にはどんな治療なのか、現在、自家培養皮膚移植の治療を行なっている「銀座よしえクリニック 都立大院」さんに治療について取材させてもらいました。

メラノサイトの減少・喪失によって生じる白斑がコンプレックスとなる場合、QOL低下を招いてしまうことがあります。銀座よしえクリニック総院長である廣瀬嘉恵先生は、日頃の診察で白斑を深刻に悩んでいる患者さんが多いことを実感していたそうです。
「白斑の主な治療法はステロイドなどの軟膏塗布や紫外線照射療法ですが、これらの既存の治療法では十分な効果が得られないケースが多々ありました。皮膚科医として患者さんの皮膚の悩みを解消できないことはもどかしく、治療効果が芳しくない白斑に対して自家培養表皮移植術を選択できるようにしました。」

銀座よしえクリニックさんで行っている自家培養表皮移植術
自家培養表皮移植術は、患者さんご自身の皮膚を白斑に移植する治療法です。最初の治療で健康な皮膚を1cm×2cm程度採取し、採取した皮膚を専用のクリーンルーム内のCPC(細胞プロセッシングセンター/細胞培養室)で培養します。培養したものを大きなシート状にしたら白斑の患部に移植します。移植するのはご自身の皮膚なので肌に馴染みやすく、少ない負担でこれまでにない画期的な効果を期待できます。白斑以外の瘢痕(はんこん)にも有効です。

自家培養皮膚移植の特徴
- 自身の正常なメラノサイトを保持する
- 均一かつ色むらなく、肌に馴染む
- 細胞採取時の体への負担が少ない
- 広い面積の治療に向いている
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律第35条第1項」の規定により特定細胞加工物製造施設として地方厚生局からの許可が必要です。銀座よしえクリニック都立大院は定める基準をクリアしています。

培養表皮移植という聞きなれない施術ですが、皮膚自体を再生に導く新しい治療方法です。当院では大学病院レベルのCPC(細胞培養室)を導入、技術員もトレーニングを積んだスタッフをそろえ、自家培養表皮移植術を行っています。
CPCで培養された表皮シートを患部に貼り付け、完全に肌に馴染むまでには3ヵ月から半年ほどの時間がかかりますが、完全に馴染んでしまうと従来の治療法では得られなかった、良好な成果を期待できます。
今後もこうした再生医療や、美容内科、エイジングケアなどでも、先端医療の普及に取り組むつもりです。患者者さんのお悩みを幅広く解消して、笑顔になっていただけるクリニックを目指していきたいと考えています。
治療は自費診療になり、費用の目安としては皮膚培養が1枚(30cm2まで、1回の移植オペ代込)で340,000円(モニター価格)~、他に血液検査、採皮費用が必要です。
銀座よしえクリニックさんでは症例モニターの募集も行なっています。費用が気になる方はお気軽にお問い合わせください。
女性のお肌のお悩みは様々です。
外用薬や紫外線治療を繰り返しても完治が難しく悩んでいる方、確実に悩みにアプローチして自分の身体と上手に付き合っていきましょう!

廣瀬 嘉恵(ひろせ よしえ)総院長
「銀座よしえクリニック」都立大院
〒152-0032 東京都目黒区平町 1-23-14 EMON
問い合わせ:0120-398-885
診察時間:平日:10:00-14:00 / 15:00-19:00
土曜日:10:00-14:00 / 15:00-18:00
休診日:日曜日・祝祭日
※土曜日診療おこなっております
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